邦楽はよかったよ(2023年2月11日掲載)
46歳、4児の子育てをしている父親です。
常日頃、子供達には自身のアイデンティティに誇りをもって、グローバル社会を歩んでほしいと感じています。
1月28日に沼津市民文化センターで開催されました「沼津の音の遺産『駿河土産』のお披露目」にて邦楽を鑑賞してきました。
今まで様々な場所で邦楽に触れる機会はありましたが、恥ずかしながら自身でチケットを購入してまで鑑賞することはありませんでした。
植松家現当主植松靖博さんから長唄『松の翁』や『駿河土産』の話をお聞きしつつ、事前に鑑賞されたお披露目曲を「いいものだったよ。」とにこやかに話される姿にとても惹かれるものを感じました。
初めて聞いたホールでの邦楽。
今まで聞いてきたものは何だったのだろうかと思ったほど感動しました。
三味線の繊細な音色、鼓の奥行きのある深い響き、のびやかで美しい声。
環境が整った場所だったからこそ感じられたのかもしれませんが、邦楽とはこんなに豊潤な音楽だったのかと驚きました。
帯笑園とそこから見える富士山などの眺望を唄った『松の翁』と『駿河土産』。
長年唄い継がれてきた名曲と百年二百年唄い継がれて欲しいという思いをもって生まれた復曲。
「沼津の誇りを感じてほしい」中心的に動かれていた堅田喜代さんの言葉にグッとくるものを感じました。
人間国宝 杵屋東成先生、復曲された杵屋六三郎先生が邦楽の未来について話されていたのも印象的でした。
海外での評価や外国の方からの大きな関心に比べ、日本人は自国の文化に興味を持っていないことを憂いていらっしゃいました。
伝統を伝承していくものへ「邦楽はよかったよ」と伝えてほしい。
ささやかでありながら重みのある願い。子供達に伝えていかねばと感じました。
脈々と受け継がれてきた身の回りにある文化は、私たちのアイデンティティそのものです。
90年代にそのアイデンティティを最大化した文明という単位で世界を区分し、東西冷戦の二項対立から、多極的な対立へ移行する21世紀の未来を予測したサミュエル・ハンチントン著「文明の衝突」。
改めて読み返すと、文明の断層地帯であるウクライナの情勢を不安視していて、彼の願いとは裏腹に予測通り東半分をロシアが吸収しようとしている現状に、ハンチントン氏の洞察力の高さに驚きます。
そんな彼の著書の中で注目するのは、日本という国を「日本文明」と世界で唯一、単一国家でありながら単一文明を形成していると洞察している点です。
ユニークでオリジナルな国、日本。日本語版の刊行にあたり、日本人の私たちにこんな言葉を残しています。
「日本の人びとのあいだに文明としての日本の性格、多極的で多文明の世界における日本の地位などをめぐって真剣な議論がうながされることを、著者として希望するものである。」
「邦楽はよかったよ!」子供達に演奏会の様子と感想を伝え、3月5日に今回と同じく沼津市民文化センターで行われる「松の翠邦楽演奏会」に誘いました。
邦楽という文化に触れ、私の感じたことを少しでも共感してくれれば嬉しいですし、自身のアイデンティティの礎の一つにしてもらいたいと感じています。
沼津市制百周年祝賀プレイベント「松の翠邦楽演奏会」のチケットは沼津市民文化センターで発売中です。
一般2000円、大学生以下1000円です。(電話:933―2059)
多くの方に邦楽の素晴らしさを感じて頂き、伝承して頂ければと感じています。


