AIで遊ぶ、沼津で遊ぶ(2026年7月14日掲載)

49歳、4児の子育てをしている父親です。

先日、巨人軍の阿部慎之助前監督に関するニュースを目にし、私は改めて考えさせられました。


AIは、とても便利な道具です。

質問すれば答えてくれます。

悩みを相談すれば、それらしい助言も返してくれます。

けれど、AIは人生の責任を取ってくれる存在ではありません。

使い方によっては、思いもよらない結果につながることもあります。




その一方で、AIは人の暮らしを豊かにしてくれる道具にもなります。

そんなことを考えていた頃、私は一つのゲームを作りました。




皆さんは「ジオゲッサー」というゲームをご存じでしょうか。

画面に映し出された町並みを見て、「ここはどこだろう」と地図上で当てるゲームです。

道路標識、山の形、建物の雰囲気、看板の文字、海や川の見え方。

そんな小さな手がかりをもとに、場所を推理します。




使われているのは、「グーグルストリートビュー」という仕組みです。

地図の中で、道路に立ったように町並みを眺められるものです。

スマホやパソコンの画面の中で、まるでその道に立っているように、周りの景色を見ることができます。




ジオゲッサーは、世界中の景色を舞台に遊ぶことができます。

知らない国を旅しているような面白さがあり、世界中で親しまれています。




ある日、私はふと思いました。

「これを沼津だけでやったら、面白いのではないか」

そこでAIに相談してみました。

「沼津市限定のジオゲッサーを作れないだろうか」すると、思った以上に具体的な形が見えてきました。




もちろん、私はゲーム制作の専門家ではありません。

専門的な知識があるわけでもありません。

それでも、「沼津市内を出題範囲にしたい」「子どもでも遊べるようにしたい」「みんなで同時に楽しめるようにしたい」。

そんな希望を、普段の会話のようにAIへ伝えていきました。

すると少しずつ、画面ができ、ルールができ、ゲームとして遊べる形になっていきました。




ゲームの名前は、「ぬまゲッサー」。

画面に表示される沼津市内の風景を見て、「ここはどこだろう」と考え、地図上で答えを選ぶゲームです。

実際の場所に近ければ近いほど高得点になります。




やってみると、これが意外に難しいのです。

普段から通っているつもりの道でも、風景だけを切り取られると、「あれ、この道路はどこだったかな」となります。

反対に、「この富士山の見え方は西浦だ」「この海の感じは戸田かもしれない」「この田園風景は大平の方かな」と分かった時は、妙にうれしいものです。

まるで、自分の中にある沼津の記憶を掘り起こしているような感覚になります。




さらに今回は、一人で遊ぶだけではなく、最大8人まで同時に楽しめるようにしました。

同じ問題にみんなで挑戦し、誰が一番近くを当てられるかを競います。

友人同士でも遊べますし、地域イベントや学校の郷土学習でも使えるかもしれません。

これは「知識の勝負」というより、「沼津愛の勝負」と言った方が近い気がします。




そこで、もう一つ「ぬまづの宝100選モード」も作りました。

沼津市民にはおなじみの「ぬまづの宝100選」。

見慣れた街並みや暮らしの中にある沼津の魅力を、ゲームを通してもう一度巡れるようにしました。




このモードを作るにあたり、私はたくさんのストリートビュー画像を見ました。

すると、思いがけない発見がありました。

それは、この街には本当に多くの「沼津を愛している人」がいる、ということです。




投稿された写真の一枚一枚には、その場所に立ち、景色を残した人のまなざしがあります。

観光地だけではありません。

神社、海岸、山道、商店街、住宅地の何気ない風景。

そこには、さまざまな人の視線がありました。




「この人は、この景色を誰かに見せたかったのかな」「この場所を大切に思っている人がいるのだな」

そう感じる写真が、いくつもありました。

AIでゲームを作っていたはずなのに、最後に見えてきたのは、技術ではなく人でした。




もし外部の会社に制作をお願いすれば、それなりの費用がかかったと思います。

けれど今回は、AIと会話をしながら自分で進めたため、外注する費用はかかっていません。

少し前なら、専門家でなければできなかったことが、今は個人の思いつきから形にできる時代になってきました。

私は今回の経験を通して、AIは人間の代わりになるものではなく、人間の好奇心を広げる道具なのだと感じました。




AIだけでは、このゲームは生まれません。

「沼津が好きだ」「地元をもっと面白くしたい」「子どもから大人まで、一緒に遊べるものを作りたい」

そんな思いがあって、初めて形になったのだと思います。

新しい技術は、使い方を間違えれば怖いものにもなります。

けれど、よく使えば、人と地域をつなぐ道具にもなります。

AIに何を答えてもらうかではなく、AIと一緒に何を楽しむか。

これからの時代、大切なのはそこなのかもしれません。




もしよろしければ、紙面のQRコードから「ぬまゲッサー」を開いて、ぜひ遊んでみてください。

沼津に長く住んでいる方も、最近移り住んだ方も、きっと新しい発見があると思います。

あなたは、沼津をどれくらい知っていますか。

そして遊び終わったあと、今までより少しだけ沼津が好きになっていたら、作った者としてこれ以上うれしいことはありません。



文・写真=飯田理一朗(株式会社トップ・ワークス)

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