日本人の情(2023年11月8日掲載)
47歳、4児の子育てをしている父親です。
常日頃、子供達には日本人らしく「情」を大切にして、誇りを持って生きて行ってほしいと感じています。
11月5日、沼津港にあります港口公園にて、杉原千畝夫妻碑前祭「命のビザ希望の集い」が開催されました。
穏やかな日差しと美しい風景の中で、今年も家族で平和を願う時間を過ごすことができました。
世界情勢が緊迫する中、リトアニアとイスラエルの外交官が、この碑前祭の為に沼津にいらっしゃったことを考えると、杉原千畝夫妻の偉業と徳の高さを改めて感じずにはいられませんでした。
特に私の心を打ったのは、リトアニアのクリスティーナ・シャルティ1等書記官のスピーチでした。
彼女も杉原千畝氏と同様、入国ビザを発給する職務にありながら、幸子さんと同じく妻として、母として、家族と情を大切にされている方でした。
杉原千畝夫妻の行動に敬意を払い、夫妻の気持ちに寄り添いながらも、母国の地続きで起こる戦争に心を痛められていることを、彼女の流す涙で痛いほど感じました。
声を詰まらせながら語る彼女の言葉と姿に、人道ある世界平和を願わずにはいられませんでした。
日本人は古来より、「情」を大切にしてきた民族です。
その情とは自分の表現する感情といったものだけではなく、より包括的な「情緒・真情」といったものです。
人と自然の喜びを喜び、悲しみを悲しむ。
その発露として、常日頃、私たちが扱う日本語があると感じています。
豊かなオノマトペを用いて、人と自然のありのままを表現し、主語を使わないことで、言葉を発する側と受けとる側、お互いの心に情緒を残す。
情緒を共感できるからこそ、人と自然を思いやることができる。
世界に類を見ない言語体系は、日本人らしさそのものだと感じています。
世界は矛盾に溢れています。
近代化の歴史は、その世界から矛盾しない部分を抽出し、究めてきた歴史と言えます。
そしてその結果として生まれたものが科学技術であり、矛盾なき環境を体現したのが都市なのだと思います。
諸行無常の世の中でも私たちが安定的に生活を営むことができるのは、そのおかげではあります。
ただ、それを究めれば究めるほど、残された世界の矛盾が、より大きな自然災害として猛威を振るっているように私は感じます。
哲学者のカントが人間の精神のはたらきを「知・情・意」と表現しました。
知は知性、情は感情、意は意志です。
矛盾なく理性的に、知と意をもって生きることを善とした西洋的価値観において、矛盾を含む情はどこか置き去りにされているように感じます。
情なき理性は独善的となり、むしろ人間同士を苦しめているように私は感じます。
情とは、思いやりの心です。
杉原千畝夫妻は日本人らしく、情をもって、多くのユダヤ人を日本へ送り出しました。
後世の私たちは、その情と徳に敬意を払い、行動を伴って継承していかなければいけないと感じています。
東欧・中東の戦火に今も苦しむ多くの人たちに、少しでも早く平和な時が訪れることを願います。
子供たちには平和な生活を営むことができる自身の環境に感謝し、日本人らしい情を大切にしてほしいと感じています。
そして、思いやりの心をもって、世界を生きて行ってほしいと感じています。


